介護士の【嘘】はテクニック
介護士K (@kaigo_kk) です。
私はよく現場で【嘘】をつきます。
介護現場において【嘘】は必須です。
介護職に限らず、社会生活において【嘘】というテクニックが必要な場面があります。
転倒のリスクが高い利用者が席から立ち上がった時に
危ないから座って下さい!
と伝えても、あまり解決になりません。
入浴にお誘いして拒否された時に
お風呂は入らなきゃ駄目ですよ!
食事が進まない時に
しっかり食べなきゃ駄目ですよ!
と促しても、まぁ解決にはなりません。
行動には何かしらの理由が伴います。
そこを念頭に入れておかないと、思わぬトラブルに発展する場合があります。
実際にあった事例で解説しましょう。
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Mさん(男性)
夜間、頻繁に起きてきてフロアを歩くMさん。何度居室に案内してもすぐに出てきてしまいます。
こんな時に
夜だから寝て下さい!
みたいな声かけをしても、仮にその場は居室へ戻っても、数分後にはまた同じことを繰り返します。
不眠のまま朝を迎え
Mさんが夜間30回も居室から出てきて、不眠でした
みたいな申し送りになります。
これが続くと問題行動と解釈され
睡眠導入剤が必要では?
みたいな方向に発展してしまいます。
Mさんが居室から出てきた時
どうされましたか?
Mさん “仕事に行くんだよ”
まだ時間が早いのでは?
Mさん “早く行かなきゃ電車が混むんだよ”
そうですか。何線に乗るのですか?
Mさん “⚪▲線だよ”
さっきニュースで台風で止まってるって言ってましたよ
Mさん “えっ、本当か?それは困ったなぁ…”
タクシー呼びましょうか?
Mさん “そうか、それしかないか”
タクシー呼んできますので、お部屋でお待ち下さい
Mさん “わかった。すまんね”
(※数分後訪室)
タクシー台風の影響で1時間くらい掛かるみたいなので、まだ時間も早いですし、もう少し横になられていては?
Mさん “そうだな。手間かけてすまなかったね”
その後、Mさんは朝まで良く休まれました。
Aさん(女性)
消灯時間近くになっても席から立とうとしません。0時近くまで座ったままのこともあります。
この場合に
そろそろ寝る時間だから寝て下さい!
と声かけしても、高確率で拒否されます。
まだ寝ないのですか?
Aさん “そうね、まだ早いからね”
いつも何時頃にお休みになるんですか?
Aさん “21時くらいかな”
えっ、もう23時ですよ?
Aさん “あら、じゃあもう寝なきゃね”
(※実際は20時半)
Aさんは居室へ戻り就寝しました。
Oさん(女性)
日曜日に家族が面会に来るので、前日の土曜日の夜はなかなか寝ません。
眠くないのですか?
Oさん “明日娘と孫が来るからね。色々準備して美味しいもの拵えてやんなきゃ”
えっ、明日は土曜日ですよ?
Oさん “あら、そうなの!?私ったら、楽しみなもんだからつい勘違いしちゃった”
嬉しいですもんね。あと1日の辛抱ですね。そのためにもしっかり身体休めないと
Oさん “そうね、はやく孫に会いたくてね。今日は早く寝るわ”
Oさんは、いつもより早く就寝しました。
【嘘】は方便
実際のやり取りはもっと複雑なので大分簡略化しましたが、上記は実際に行った対応です。
勿論、毎回うまくいくとは限りません。
裏目に出ることや、何をしてもどうにもならないこともあります。
相手は人間なので、伝わる日もあれば伝わらない日もありますし
この人に通じたからあの人にも!
といった簡単なものでもありません。
介護現場は時間との戦いでバタバタなので、職員目線の一方的な対応になってしまうことがあります。
座ってて!
みたいな。
それが大きなリスク回避のためであったりもするので一概に否定できませんが、一方的な都合で動かせるほど人間は簡単ではありません。
【嘘】を推奨するのもどうかと思いますが、時には必要です。
今回の【嘘】をはじめ、介護職の声かけについては
当blog人No.2記事
も是非ご覧下さい。