2021/04/12

介護士K (@kaigo_kk) です。
安易な手抜きは「大事故」に直結します。
今回は現場向けの話になりますので、予めご了承下さい。
◼車椅子、ベッド間の移乗
関わる機会が多いと思います。
施設にもよりますが、車椅子には色々なタイプがあります。
中には
- フットレスト(※足のせ)
- アームレスト(※肘掛け)
が脱着可能なものがあります。
これは主に、車椅子からベッドへの移乗介助の際、立位が安定せず介助量が多い人などに使用します。
フットレストやアームレストといった障害物を取り外して移乗することで、動線にあるリスクを減らすためです。
フットレストを外さないで介助をすると、フットレストに足を引っかけてバランスを崩したり、フットレストに脛部を打撲して怪我をさせてしまう場合があります。
アームレストを外すことで、アームレストを乗り越えず平行にスライドするようにベッドへ移乗することができます。
アームレストを外さないで介助をすると、アームレストの高さを乗り越えるというアクションが増えてしまい、立位が不安定な方の場合、介助途中で立位が保てず膝折れし転倒するリスクがあります。
立位や移乗がほぼ見守りで可能な方なら脱着可能な物を使用する必要はありませんが、介助量の多い方の場合は、使用するほうが介護者の負担も減りますし、お互いのためにも良いです。
そんな意味があってフットレスト、アームレスト脱着可能な車椅子を使用しているのに、外さないで介助する介護士が結構います。
理由はただ1つ【面倒だから】
介護現場には時としてナースコールやセンサーが鳴り止まず、スタッフが常にバタバタ走り回る時間帯があります。
フットレストやアームレストを外して介助しようとしたら別のナースコールやセンサーが鳴り、外さないで移乗して慌てて別の方の対応に。
後で確認すると、入居者様の下腿脛辺りに内出血斑や表皮剥離ができていた。
バタついていなくても面倒だから外さずに介助してしまった。
その結果、介助途中でバランスを崩して転倒させてしまった。
介護キャリアがそこそこ長く
俺は移乗上手いから大丈夫
と自身のスキルを過信して介助した結果、怪我をさせてしまった。
介護現場では、この手の事故が後を断ちません。
よくある事だから
と言ってヒヤリハットや記録すら残さない施設もありました。
決められた事はしっかり守る。
地味で面倒な事にも理由があります。
人間は慣れてくると手抜きをします。
そして、慣れてきた頃に大きな事故やトラブルを発生させます。
考えてみて下さい。
自分の身内が施設に入所しているとして、ある日施設から電話が鳴りました。
お母様が転倒して足を骨折しました
理由は濁して説明しているも、よくよく話を聞くと、介護士が手抜きをした結果転倒させてしまったと。
大腿骨径部を骨折し、寝たきりになってしまいました。
納得できますか?
以前、過去に浴室で転倒したことが切欠で介護士に不信感を持っている入居者様がいました。
聞くと、入浴時シャワーチェアーに移乗する際、本来ならば介助者2人で対応する決まりになっていたのに、その時は1人で介助されたと。
その結果、バランスを崩して転倒し怪我をさせられてしまったと。
信頼関係を築くのに時間を要しました。
当然ですよね?
信頼できない人に身を預けるのは、恐怖でしかありません。
入居者様のADLは日々変化するので、毎回同じ対応で良いとは限りません。
ですが、冒頭の事例のように、フットレスト、アームレストを外す等の決まり事は、毎回しっかり行う必要があります。
近所のコンビニへ行こうと車に乗った際、近くなので面倒だからシートベルト付けずに発車。
結果、最初の交差点で停まった時、後ろから追突されてフロントガラスに顔面強打して重症。
以前の職場の先輩の話です。
彼の額にはその時縫った傷が痛々しく残ってました。
軽い気持ちで手抜きをした結果、大事故に発展なんて、笑い話にもなりませんよね?
介護現場では、やるべき事をやっていても事故が起こることが多々あります。
注意して防げる事故は、起こしてはいけませんよね。