介護士Kのブログ Written by 介護士K

介護職は「経験値」が大切?

介護の仕事

介護士K (@kaigo_kk) です。

介護職に「経験値」は必要か?

介護職に限らず、どんな仕事にも経験からしか得られないスキルがあります。

世の中には中途で入って先輩ゴボウ抜きにしてトップに~なんてこともあります。

介護現場にも出世が早い人はいます。

持って生まれたポテンシャルがあるので、個人差は必然的に生まれます。

仕事自体に興味も責任感もなく年数だけ重ねてる人間を対象に入れると話が進まないので、今回そこは省きます。

介護職において、経験でしか培われない能力は「勘」

介護現場の仕事で一番難しいのは、オムツ交換でも入浴介助でもトランスファーでもなく、見守りです。

オムツ交換は慣れれば速くなりますし、業務は要領を掴めば無駄を減らせます。

ただ、見守りに関しては要領よりも勘が必要になります。

フロアで見守りしをしているとします。

全ての動作が自立の人、介助が必要な人、訴えられる人、訴えられない人

歩けないのに急に立ち上がる人、車椅子からずり落ちそうになる人、急に同席の人と喧嘩をはじめる人…

フロアには様々なリスクが混在しています。

そろそろこの人が立ち上がるかな?

そろそろあの人が不穏になるかな?

なんかあの人いつもと様子違うな?

経験の浅い新人では一見何も感じないような状況でも、ベテランの目には様々なものが映っています。

【警視庁24時】で飲酒運転や怪しい車を瞬時に見破るベテランの🌑△さんみたいな人いますよね?

あんな感じです。

入居者様の観察ポイントは個々で異なるので、その人にとって1番のリスクを把握する必要があります。

リーダークラスの職員がフロア見守り中心の業務に就くことが多いのは、見守りが1番難しいからです。

 

排泄介助においても、勘は必要です。

 

従来型の特養や老健などは、大人数を同じ時間帯に排泄誘導することがあります。

例えば

A様がトイレに座っている間にB様のオムツ交換を終わらせよう。

こう考えたとします。

A様は1人では歩けません。

A様はトイレが終わったらナースコールを押してくれますが、あまり待たせてしまうと自分で立ち上がってしまい転倒するリスクがあります。

この場合、オムツ交換に手間取るとA様がトイレから立ち上がって転倒するリスクがあります。

A様がどれくらいの時間ならトイレに座っていられるかを考えて、B様のオムツ交換に入る必要があります。

B様のオムツ交換をしようと思ったら、便汚染をしていました。

このまま対応していたらA様が立ち上がってしまう可能性があるので

B様のオムツ交換を後に回して、取り合えずA様のトイレ対応をしよう

また、B様をベッドに臥床しオムツ交換に入ろうと思ったら、C様がトイレからナースコール。

C様のトイレ対応をしているうちにA様のトイレが終わるから

C様 ➡ A様 ➡ B様

の順番で対応しよう。

A様は認知症のため、時々ナースコールを押さずにトイレから立ち上がる可能性がある。

いつもならトイレが終わりそうな時間になってもA様からナースコールが鳴らない。

ナースコールを押さずに立ち上がってるのではないか?

念のため1度トイレを覗いてみよう等、常に頭をフル回転させて動く必要があります。

これが事務仕事なら要領の良い人なら優先順位を決めて迅速に対応できるかも知れませんが

A様が何分くらいトイレに座ってられるか?

何分経ってナースコールが鳴らないとおかしいか?

などを把握して判断するには、経験に基づく勘が必要です。

リスクを最大限に減らすには、1人ひとり対応するのがベストです。

ですが、それをしていては現場は回りません。

限られた時間でリスクを最大限に減らし、安全に回す必要があります。

元から勘の鋭い人もいれば鈍い人もいるので、スキルに差はありますが、未経験ではどんなに潜在的に勘が鋭くてもリスクの把握はできません。

また、海千山千のベテランでも勘が外れることはあります。

新人教育において1番難しいのは、リスクを教えること。

一向に成長しない人は経験から学ばないので、いつまで経っても勘が鈍い。

こういう人ばかり勤務の日は、事故リスクがグンと上がります。

其ゆえに、どの現場も勤務を組む時に最も神経を遣うのはパワーバランス。

頭の痛い問題ですよね…

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