ツンデレ介護士
介護士K (@kaigo_kk) です。
今回は身体介護について。
介護の基本は
【自立支援】
介護士は何でもかんでも手伝うのではなく、痒い所に手の届く存在である必要があります。
自分でベッドから立ち上がって車椅子に移れる人を、力任せに持ち上げる様な介助は良くありません。
時間が無いから等と理由を付けて、ゆっくりなら自力ででできる人を過剰に介助してしまうのは
事故の元です。
いかに介護現場が人手不足でバタバタであっても、そういう手抜きは御法度です。
とはいえ、入居者様の中には依存心が強く、自分で出来るのに手伝って貰おうとする人が結構います。
高齢になる程一つ一つの動作が億劫になりますし、動作に痛みが伴う場合もあります。
それがなくても、人間は生来怠け者ですからね。
中には、優しくて何でもしてくれる介護士にだけ頼む人もいます。
私はツンデレ介護士なので、あまり頼まれません。
とはいえ、手伝ってよ~と頼まれた時に
出来るでしょ!
怠けちゃ駄目!
みたいなことを言われたら、やる気起きませんよね?
私だったら嫌です。
今回は、そんな入居者様に対するツンデレ介護士BB の対応について。
◼トイレ一部介助のS様
車椅子を自操できる方で、トイレ希望時は自らトイレまで行き、ナースコールで呼んでくれます。
そこに私が伺います。
S様は手すりに捕まって立ち上がる力はあるのですが
持ち上げて
と毎回必ず頼んできます。
そんな時、私は臀部辺りに手を添えて持ち上げるフリをして
いきますよ~
いちに~の~
さん!
“3”と言った所で
パッと手を離します。
すると…
スッ
と立ち上がります。
そこですかさず
出来るじゃないですか~
と言うと、S様は決まって
手伝ってくれたからよ~
と言います。
そんなS様、持ち上げてと頼まれた時に
嫌です。自分でやってみて下さい。
と伝えて後ろで見ていると
う~ん
う~ん
やっぱできないわよ~
助けてよ~
と嘘泣き。
わかりました、手伝いましょう。
いきますよ~
いちに~の~
さん!
スッ
と立ち上がります。
これはS様と私のお約束コントになってます。
◼車椅子を押して欲しいK様
K様は車椅子を自操できるのですが、押して貰いたい。
ベッドから車椅子へ移って頂き、廊下まで案内。
そこで
あとはお願いします。
と言って、少し離れて見ていると、少しの間自操せずに止まっています。
誰も手伝ってくれないと思ったら、ゆっくり自操を始めます。
その時、近くを職員が通り掛かったら
自操をやめます。
その職員も他者のナースコール対応のためK様の横を素通り。
K様はすぐには動きません。
そして、しばらくして手伝ってくれないと思うと
自操を再開します。
それを4~5回繰り返して、ようやく居室から食事席へ到着します。
優しい職員が対応すると、ベッドから車椅子に移った直後から微動だにしません。
私はツンデレ介護士なので
あとは宜しく~
的なことを伝えて去ります。
K様は私は手伝ってくれないと分かっているので、すぐに自操を始めます。
などなど。
甘えや依存は悪いわけではありません。
人間誰しも疲れていたり、その気になれない時はあるものです。
それを都度突っぱねるだけでは
ただのスパルタです。
その時々の状況で対応を変えつつ支援することが大切です。
車椅子からベッドへ自力で移れるのに、職員が視界に入ると手伝って貰おうと動かないH様。
カーテンの影に隠れて見ていると
しばらく回りをキョロキョロ見渡し
スッ
スムーズにベッドへ移り、布団を被りました。
介護現場で
出来るんだから自分でやって下さい
このように上から説教をする介護士をたまに見掛けます。
措置の時代から介護に携わってたベテランに多いです。
相手のモチベーションを下げたところで何も始まりません。
目的は自主性を引き出すことなのだから、どんなテクニックを使っても
相手のモチベーションに繋がるなら、それで良いのです。
余談ですが、トイレで立ち上がらないS様に
そんな甘えてばかりいると
今日から口ききませんよ
と言ったら
ある日は自力でスッと立ち上がり、ある日は微動だにしませんでした。
コミュニケーションに正解はありませんね。