会話を「切る」テクニック
介護士K (@kaigo_kk) です。
介護現場「あるある」です。
日々介護現場で働いていると、入居者様から色々と話し掛けられます。
トイレへ連れてって
などの対応可能な訴えから
帰りたい。出口はどこ?
といった実現不可能なものや、ただの世間話など。
人対人なので、顔を合わせれば何かしらのコミュニケーションが生まれます。
介護の基本は傾聴と言われています。
一人ひとりの入居者様と懇切丁寧に向き合い、相手の要望に沿った介助をするのが理想だと。
ただ、施設介護の現場において、これを実行するのはかなり難しいです。
毎度書いてますが、介護現場は万年人手不足で混沌としています。
1日のタイムスケジュールにナースコールやセンサー、様々なイレギュラーが重なり、職員は一日中走り回っています。
そんな中、1人の入居者様と膝を付き合わせてじっくり話す時間は殆どありません。
各々が効率良く動いて多少の時間を作ることはできますが、毎日がタイムスケジュール通りに進むとは限りません。
急変、事故、ヒヤリハット…
日々色々なことが起こります。
何も起こらない日でも、職員が一人欠勤したら、その時点でバッタバタです。
入居者様に呼び止められても
ちょっと待ってね!
と言ったまま、その後対応する時間すら作れないなんて日もあります。
良いか悪いかという問題ではなく、これが現実です。
とはいえ、飽くまでも介護は入居者様が最優先。
今忙しいから無理!
と、蔑ろにするのは当然良くありません。
そんな現場において大切なスキルは
会話を切るテクニック
入居者様の中には、話好きな人も多いです。
女性は特に。
そんな入居者様と向き合う時間が大切と、一度話し掛けられたら平気で長時間話続けてしまう職員がたまにいます。
一人の人としてはアリなのかも知れませんが、現場で働く介護士としては
ナシです。
勿論、ゆっくり話していて大丈夫な時間帯や場面なら問題ありません。
ただ、排泄、入浴介助など、次から次へと対応しなければいけない時間帯に、一人の入居者様とだけ向き合ってしまうのは駄目です。
ナースコールが鳴り止まないような状況で一人の入居者様と緊急でない話を長々とするなんて論外です。
何度も書いてますが、介護現場で1番大切なことは、事故なく安全に回すこと。
それができた上での個別対応です。
個別対応を第一優先にすると、現場は回りません。
回らないと、そのしわ寄せはその他大勢の入居者様へ行きます。
はやくトイレへ行きたいのに、職員がなかなか来ないから漏らしてしまった。
早く部屋に帰りたいのに、誰も迎えに来てくれないから、一人で歩いて戻ろうとして転倒して骨折した。
そんなことになります。
相手を蔑ろにせずに話を上手く切り上げる、そんなテクニックが重要になります。
こんな経験ありませんか?
居酒屋で、最初に注文したビールがなかなか来ない。
喉はカラカラ。乾杯できない。
こんな時って、イライラしますよね?
そんな時に、店員さんが
すみません!ビール切らしてて麦から作ってたら遅くなってしまいました!
みたいに、何かしら気の利いた冗談1つでも言って貰えたら、許せたりしませんか?
洋服屋で、お客さんが何人もいて、中には試着したくて店員をチラチラ見てる人がいるにも関わらず、店員が一人の客とだけ延々と話していたら、イラッとしませんか?
介護職に限らず、サービス業全般において、接遇テクニックの高い人はクレームを受けにくく、常に相手に好印象です。
私の知る介護士にも、そのへんのスキルが高い人がいます。
ナースコールでバタバタで、何度も話し掛けてくる入居者様に対し
ちょっと待ってね
と言い続け、ようやく時間ができた時に伺い
いやぁ~ファンが離してくれなくて
と切り出し、短い時間で事無く問題解決。
別の場面では、入居者様との会話の途中にナースコールが鳴り、その場を離れざるを得ない時に
すみません、3人目の彼女から電話きたので行きます。モテ過ぎるのも問題ですね。
などと言って、うまく話を切り上げてナースコール対応へ。
彼は冗談のような事ばかり言っていますが、入居者様からは大人気。
他の職員ならクレームになる可能性のあるような場面でも、持ち前のボキャブラリーの豊富さで何事にも至りません。
勿論、ただふざけてるだけの人間でない事は言うまでもありません。
そういうものなんですよね。
バッタバタで無愛想になりがちな状況でも、何かしらの方法で対応する。
時間が沢山あって、職員も大勢いれば、それはできる事は沢山ありますよね?
ただ、そうでない状況の中でいかに入居者様のことを考えて限られた時間を有効に使うか。
私たち現場の介護士が1番考え意識すべきところは、そこだと考えてます。