利用者の「行動パターン」を把握する
介護士K (@kaigo_kk) です。
今回は【リスク】把握について。
先日、うちの施設でヒヤリハットが発生しました。
(※ヒヤリハットについてはコチラ参照)
利用者Kさんが、ベッドから食堂まで1人で歩いて出てきてしまいました。
Kさんは足腰か弱く、普段はサークル歩行器を使用しています。
また、過去にベッドから自力で立ち上がろうとして何度か転倒しているので、ベッド足元に(※①)フットセンサーを設置しています。
(※①:踏むとナースコールのように音が鳴るマット。転倒リスクの高い利用者のベッド足元などに設置して使用する)
朝方、フットセンサーが鳴ったので、夜勤者はKさんの所に行きました。
Kさんはトイレ希望だった為、トイレ誘導をしました。
トイレ後
もう少し寝たい
と希望あり、夜勤者はベッドへ案内し、横になったのを見て退室しました。
その10分後、Kさんは歩行器を使わず食堂まで1人で歩いてしまいました。
発見前にフットセンサーが鳴らなかった為、うまくフットセンサーを避けて立ち上がり、歩行器を使わずに歩いた様子。
幸い転倒には至りませんでしたが、これは立派なヒヤリハット。
夜勤者は、問題はフットセンサーの設置場所と考え、対応策として
- フットセンサーの設置位置の変更
を挙げてきました。
当日、日勤だった私は、夜勤者からこのヒヤリハット報告を受けました。
夜勤者が挙げた対応はソレはソレで良かったのですが、私が気になったのは
発生した時間
Kさんは、いつも6時頃にトイレに起きます。
そして、その後寝たいと希望して寝ても、高確率で5~10分後くらいにまた起きます。
Kさんは、起きて食堂に来ると新聞を読んだりテレビを観たりして過ごし、殆ど席を立つことはありません。
私が夜勤の時は、Kさんが6時頃にトイレに起きたら
新聞きてますよー
とか何かしら理由つけて説得し食堂へ案内します。
Kさんは夜寝るのが早く熟睡するので、6時に起きても寝不足にはなりません。
そして、特養や老健のような多床の介護施設の6時というのは、ナースコールが鳴り響き職員が走り回る【戦場】のような時間帯。
もしKさんが起きてフットセンサーが鳴ったとしても、他者対応中だったらすぐに対応できない可能性があります。
結果、Kさんの転倒リスクが上がります。
過去にKさんが転倒したのも、この時間帯。
様々な要因や状況を踏まえ、Kさんが6時頃にトイレに起きた場合は
食堂へ案内する。
これが、リスク回避のための最善な対応です。
勿論、無理強いはできないので、どうしても寝たいと希望する場合は寝て貰って構いませんが、その場合は
5~10分後に起きる可能性が極めて高い
ことを踏まえ、もし起きても対応できるよう起床介助の段取りを組む必要があります。
この日の夜勤者はこの認識が無く、Kさんが起きる可能性があるこの時間帯に、マンツーマン対応が必要な利用者の介助をしていました。
その点を踏まえ
- 6時頃トイレに起きた場合は、食堂へ行くことを提案する
- 希望で臥床した場合は、再度起きた時に対応できるよう業務を組み立てる
この2つを対応に加えました。
介護職員は、利用者の行動パターンを把握する必要があります。
- トイレの間隔
- 睡眠・起床時間
- 食事のペース
等々、日々様々な角度から利用者を観察し、行動パターンを把握することがリスク回避に繋がります。
勘が鋭い職員はリスク把握能力に長け、成長が早いですが、勘が鈍い職員は何年経っても成長しません。
人に興味のある人っていますよね?
利用者の些細な行動を見て
何でああなんだろう?
と素で思える職員は、利用者の行動パターンの把握が早く、事故が発生した時も対応検討ができます。
反面、人に興味のない職員は、対応検討ができません。
個々の性格と言ってしまえばそれまでですが、これは仕事です。
仕事として意識して把握するよう努力すべきです。
ヒヤリハットや日々の経過記録からも、行動パターンが見えてきます。
些細なことにも気付けるよう、アンテナを張り巡らしていきましょう。