介護職は『誰にでもできる』仕事なのか?
介護士K (@kaigo_kk) です。
介護は『誰にでもできる』仕事なのか?
SNSやメディアを見ていると、介護職について色々なことを言ってる人がいます。
よく見かけるのが…
- スピード重視の介護は「非人道的」
- 介護は「誰にでもできる」仕事
みたいな声。
今回は、この2つの声にリアクションしていきます。
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スピード重視の介護は「非人道的」?
介護現場は、どこも人手不足でバタバタです。
排泄介助・入浴介助などは、どうしても流れ作業のようになってしまいます。
そんな状況を見て…
人間を物のように扱っている!!
高齢者の人権侵害だ!!
と批判する人がいます。
気持ちは分かります。
ただ、スピード重視の介護がすべて非人道的かというと、それは違います。
介護現場では、全て入居者さんの意思を尊重し、ペースに合わせて対応していたら終わりません。
例えば【入浴介助】
2時間で25名の入浴を終わらせなければならない日があったとします。
入浴は入居者様の楽しみの1つだから
といって、1人の入浴介助に30分かけていたら、2時間で4人しか入浴できません。
これを言うと…
そんな無茶なスケジュールを組むほうが無能なんだ!!
と批判する人もいますが、この手のタイプは何かにつけて難癖つけるのが趣味の人なので、無視して構いません。
高齢者を人間扱いしない介護はダメですが、スピードは時には必要です。
具体的な状況で説明します。
オムツ交換
私は若い頃、入院中に1度だけオムツ交換を経験したことがあります。
初体験ということもあり羞恥心ハンパなく、交換中に一体どんな顔をして良いのか等、不安で仕方ありませんでした。
ただ、交換してくれたのが年配のベテランの看護師さんで、手際よくパパッと終わらせてくれたので、だいぶ気が楽でした。
これが慣れない若い看護師さんだったらと思うと…
オムツ交換をされる側は、はやく終わらせて欲しいのです。
衣類交換
寝たきりの入居者さんがベッド上で尿失禁してしまい、衣類や布団類を全部交換することになりました。
寝たきりの人をベッド上で着替えてシーツなども全部交換するのは、慣れてない人にとってはかなり難易度が高いです。
あまり時間が掛かると、冬場だとそれが原因で風邪を引いてしまうこともあるし、他人の前でしばらく半裸でいることは、相手の尊厳を踏みにじることになります。
スピード重視は「非人道的」だ!!
そう叫ぶ人に聞きたい。
あなたは、両足骨折して寝たきりになった時、オムツ交換に20分かけられたら、どう思いますか?
介護は「誰にでもできる」仕事?
介護の仕事は…
オムツ換えたり着替えたりするだけだろ?そんなもん、誰だって出来るわw
みたいな事をいう輩もいます。
参考までに
- オムツ交換
- 着脱介助
などの基本的介助が、誰にでも簡単にできる仕事なのか説明します。
オムツ交換
素人が初めてオムツ交換をすると、1人15~20分くらい掛かります。
便が出ていた場合は20~30分は掛かかります。
慣れた介護士なら便が出ていても3~5分くらいで終わります。
寝たきりの人の着脱介助
ベッド上で寝たきりの人の着替えをするのは、素人にはそうそう出来ません。
伸縮性のないパジャマのような服の場合、上着の袖すら抜けないと思います。
嘘だと思う方は、家族や知人で試してみて下さい。
ちなみに、慣れた介護士なら5分もあれば終わります。
便汚染→全更衣・シーツ交換
想像してみて下さい。
ベッド上で衣類からシーツから便まみれです。
未経験の新人は、この状況を目の当たりにしたら大体パニックになります。
そして、全て交換するとしたら、測ったことないですが30分~1時間は掛かります。
慣れた介護士なら10分あれば余裕です。
介護職経験はなくても、身内の介護経験のある方から見たら、介護職のスキルの凄さが分かるハズです。
思想だけでは無意味
余談ですが…
オムツ交換や入浴介助だけが介護じゃない。相手の人生に寄り添うことが介護の本質だ!
と言う人もいます。
耳障りが良く、もっともな意見に聞こえますが、勘違いしてはいけないのが基本的な介護技術が備わっていることが前提ということ。
海賊王に俺はなる!!
と宣言して、毎日引きこもってゲームをしていたら、絶対になれませんよね?
思想だけでは無意味です。
そして、介護士のスキル、現場の苦労を知っている人は、今回のような絶対に批判はしません。
最後に
介護は、時にはスピードが必要で、誰でも簡単にできる仕事ではありません。
学生時代に倉庫作業のアルバイトをしていた時、ベテラン先輩のフォークリフト操作を見て【神】と思いました。
フォークリフトの操作なんて誰だって出来るw
なんて思えませんでした。
どんな仕事も、誰もが一朝一夕で習得出来ない専門スキルや、経験の上に成り立っています。
誰にでもできるw
なんてサラッ言えてしまう人間の声に、一喜一憂する必要はありません。
介護職の皆さん、自身を…
いや、【確信】を持って下さい。
あなたのスキルには価値があります。
忘れないで下さい。