介護士Kのブログ Written by 介護士K

恐怖・スパルタ家族

介護現場の日常

介護士K (@kaigo_kk) です。

【スパルタ家族】ご存知ですか?

私は介護老人保険施設(老健)で働いています。

老健とは

  • 病院 → 【老健】 → 在宅

病院から在宅に戻るまでの中間施設という位置付けの、所謂リハビリ施設です。

ただ、最近では老健でも看取りをしたり、複合的な能力を求められています。

リハビリ施設なのでよく

 

【スパルタ家族】

 

に遭遇します。

【スパルタ家族】とは例えるなら一昔前のお受験ママ的な感じで、とにかく身内である利用者に厳しい。

今回は、そんな【スパルタ家族】について解説していきます。

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運動系スパルタ

つい先日、利用者Sさん家族から

車椅子に乗っていると歩けなくなるので、歩かせて下さい!!

と言われました。

利用者Sさんは95歳で歩けるのですが

しんどいわぁ…

と歩きたがらず、歩行介助したり、時には車椅子に乗ったりしています。

家族の身体機能を維持させたいという気持ちは解ります。

施設側も、身体機能維持のために歩くように促しもしています。

ただ、無理強いはしません。

無理やり歩かせることが本人にとってどうなのか?

この手の家族はとっても多い。

食事系スパルタ

人間、高齢になると食事&水分摂取量が減っていきます。

利用者Tさんは、最近めっきり食事量が減ってきており、全く手をつけない時もあります。

そんな時に介助しても、吐き出してしまいます。

そんなTさんに対して家族は

ちゃんと食べないと歩けなくなっちゃうから!!

と、面会の度に何か買ってきて食べさせようとしたり、食事中に横に座って促したりしています。

職員に対しても

食べさせて下さい!!

と訴えてきます。

気持ちは解りますが、吐き出してしまう人の口に詰め込んで蓋をしろということ?

起こす系スパルタ

高齢になると当然体力が衰えてくるので、昼寝の時間が増えてきます。

朝、起こして車椅子で食堂にきた瞬間から寝てる人もいます。

起こさなければ1日中眠っている人もいます。

利用者Yさんがそのタイプ。

そんなYさん家族は面会時

寝てばかりじゃダメ!!

そう言ってYさんを長時間起こそうとします。

家族が面会に来た日の夕食時、Yさんは高確率でグッタリしています。

勿論、施設側も起こす時間は確保していますが、それはYさんの体力を考慮した上でです。

スパルタ家族の共通点

【スパルタ家族】には共通点が幾つかあります。

たまにしか面会に来ない

日頃から面会に来てる家族は利用者の状態をよく理解しているので、あまり無理なことを言わないし、させようとはしません。

(たまにそうでない人もいるけど…)

お盆や正月など、たまにしか来ない家族や、遠方に住んでるキーパーソン以外の家族に多いです。

日頃の状態が解らないので仕方ない面はありますが、大切な家族のことなので、日頃の状態を把握する努力は必要だと思います。

これ以上衰えさせたくない

これも滅多に面会に来ない家族に多いですね。

加齢による衰えや認知機能の低下を受け入れられないので、少しでも何とかしようと、運動させたり、食べさせたり、起こしたりしたがります。

中には家族の写真を見せて

なんで覚えてないの!忘れちゃダメでしょ!!

と説教をする家族もいます。

利用者としては楽しい面会どころか、下手をすれば罰ゲームです。

衰えるのは施設のせい

施設職員が甘やかすから身内が衰えていると思い込んでクレームを言ってくる家族もいます。

こちらとしては個々の状態を把握した上で起こしたり、リハビリしたり、食事介助などをしていますが、それが納得いかない。

もっと何とかできる筈だ!!

となってしまうわけです。

元気だったあの頃のように!

これも気持ちは物凄い解ります。

元気だったあの頃のお父さんに戻って欲しい!!

ただ、冷静に考えて貰いたい。

車椅子生活になって数年の人が、坂道ダッシュできるようにはなりません。

極端な例と思う人もいるかも知れませんが、怪我をした若者のリハビリとは訳が違います。

ピチピチだった十代の肌に!!

とか言ったところで無理ですよね?

家族も勉強すべき

これは常々思っていることですが、家族も勉強しなくてはダメです。

  • 認知症とは何か?

など、最低限は知っておくべきです。

そうしないと、まず自分たちの不安が無くならないですし、利用者にとってもストレスになります。

身内の状態把握のためだけで良いので、知る努力は必要です。

施設なら何とかしてくれる!

みたいな思い込みはやめましょう。

最後に

この記事を書こうと思ったのは、親父の話が切欠です。

親父の母、私の祖母は今でもバリバリ元気で、高齢者施設で長年働いている私からすると奇跡に近いレベルです。

にも関わらず、先日親父は落ち込んでいました。

理由は

この前実家に帰った時に話したら、兄弟の名前やエピソードがごっちゃになる事が増えてきた。あと、最近歩くのが遅くなったし、たまに転びそうになるんだよな…

といったもの。

私はその話を聞いて

まだそんなに元気なのか!?

ばあちゃんスゲェ!!

と言ったら、親父はポカーンとしていました。

一般人と介護職の認識の差です。

人間、理屈では理解できていても、いざ身内のこととなると冷静になれないものです。

普通のことです。

風邪かなと思って病院に行ったら医者に

未知の病です!!

とか言われたらメッチャ不安になりますよね?

認知症高齢者の家族も同じで

なんか解らないけど日々衰えていってる…あの頃の父さんに!!

とか

プロなら何とかしてくれ!!

と思ってしまうのは仕方のないことだと思います。

知識をつけたり日頃の状態をみていくことで、原因不明の不安は多少解消されます。

そして、これは勿論ですが、介護職員はそんな家族に、利用者の状態をちゃんと伝えるべきです。

たとえすぐに理解してもらえなくても、何度も説明していくことで理解を得られたり、信頼関係を築くことができます。

まぁ、いくら説明しても一向に理解せずクレーム三昧の【スパルタ家族】が多いのも事実ですけどね。

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