派遣を「差別」する介護施設
介護士K (@kaigo_kk) です。
派遣を「差別」する介護施設について。
介護職として働くには「常勤」「非常勤」「派遣」などの選択肢があります。
私は2年間「派遣」をしていた時期があり…
- 有料老人ホーム2施設
- 特別養護老人ホーム1施設
で働きました。
今の施設に転職したばかりの頃、Aさん(女性)という「派遣」職員と一緒に仕事をしました。
Aさんは仕事のできる人で、続けて欲しかったのですが、結婚を機に引っ越すことになり、契約終了となりました。
最終日に挨拶をしたら…
ここは皆さん丁寧に教えてくれるし、私の名前をちゃんと覚えてくれたし、とても働きやすかったです。ありがとうございました。
彼女はこう話しました。
「私の名前をちゃんと覚えてくれた」という言葉が気になり話を聞いてみると…
今までの派遣先は「派遣さん」と呼ばれ、一度も名前で呼んでもらえなかった。
「派遣」に大変な仕事ばかりさせて、常勤職員はサボっていた。
少しでもミスをすると「高い時給貰ってるんだから、ちゃんと仕事しろ!」と罵倒された。
という返答が返ってきました、
Aさんは仕事のできる人だったので、冷遇される理由が解りませんでした。
後日「派遣」で働いている仲間に聞いてみたところ、このようなエピソードが山ほど出てきました。
派遣を「差別」する介護施設がある。
今回はなぜ派遣を「差別」する介護施設があるのかについての考察です。
スポンサードサーチ
「即戦力」を求めている
「派遣」を必要としている介護施設は言うまでもなく人手不足のため「即戦力」を求めています。
時間をかけて教育をする余裕がないため、最低限の事だけを教えて、すぐに一人立ちさせます。
半月~1月ほど様子を見て、仕事の覚えが悪いと「ハズレ」「使えない」というレッテルを貼ります。
居づらくなり契約更新を断ると「根性なし」と陰口を言われます。
きちんと教えず、成長を待たず、一度の失敗を大事と捉え、冷遇する。
こんな職場では普通の人は辞めます。
感覚が「麻痺」している
長年勤めている常勤職員は、その施設のやり方や、人手不足の状況に慣れていて感覚が「麻痺」しています。
人手不足でバタバタが普通なため、慣れずに足を引っぱる「派遣」にイライラします。
人間心理として仕方ないかも知れませんが、この時点で「ハズレ」「使えない」とレッテルを貼るのは間違いです。
グッと堪えて、根気強く教えないと、素質があっても育ちません。
教育担当者に育てる意識があってもその他職員に自覚がない場合もあり、管理職不在の日に嫌がらせをするようなケースもあるそうです。
人手不足が「好都合」
世の中には少数精鋭でバリバリ働くのが好きな人種がいます。
中途半端なスキルの人間に足を引っ張られるより、自分で全部やってしまいたいと思う人たちです。
100人の兵隊より5人のギニュー特戦隊という考えです。
このタイプの人たちは、この事に対する自覚が全くなく…
また派遣辞めたのか。根性ねぇな。明日からバタバタだよ。参っちゃうよな~
とボヤきつつ、活き活き仕事をします。
1人で何でもやろうとするプレーヤーがいるチームは育ちません。
このタイプが上司だと、半永久的に人手不足です。
被害者は、ギニュー特戦隊同等のスキルを求められる既存職員。
特殊能力を基準にマニュアルを作ると、必然的に「落ちこぼれ」が生まれます。
そして、適応できない既存職員にも「ハズレ」「使えない」とレッテルを貼る。
もはやカオスです。
施設側は「疑心暗鬼」になっている
長年、介護現場で働いているので、施設側の気持ちも解ります。
素晴らしい「派遣」もいれば…
- 勤務初日にバックれる
- 悪態つくだけで仕事覚えない
- 少し注意しただけで泣いて早退
- ある日突然音信不通
社会人としてアウトな人間も大勢います。
施設側は、アウトな人間被害に「3桁」は遭っているため「疑心暗鬼」になっています。
どんな職場でも即戦力となれる素晴らしい「派遣」もいますが、そういう人は施設をよく見ているので、自分に合わないと判断したら、即次へ移ってしまいます。
ダメな人間に振り回され、良い職員には逃げられる…
受け入れる側も苦労しています。
「派遣」のメリット&デメリット
正社員が安定という時代ではないので「派遣」という働き方は「1つの選択肢」です。
もしアナタが「派遣」という働き方を選ぶなら、メリット&デメリットをしっかり把握しておく必要があります。
派遣の「メリット」
- 高時給(1600円~)
- 正社員より稼げる
- 正社員より業務負担が軽い
- 働き方を選べる(夜勤専任など)
- 職場を変えられる
「派遣」は高時給のため、施設によっては正社員より稼げます。
ケアプラン作成、会議への参加など、常勤のような業務負担がありません。
週3日だけ、夜勤専任など、働き方を選べ、合わない職場なら契約更新を断れます。
派遣の「デメリット」
- どこへ行っても人手不足
- 人間関係の構築が難しい
- 見下される可能性がある
- 仕事が途切れる可能性がある
- 担当者がポンコツだと詰む
「派遣」を必要としている施設は例外なく人手不足のため、どこへ行っても基本バタバタです。
配属先の状況によっては希望が通らない可能性があります。
「派遣さん」と呼ばれて見下されたり、大変な仕事ばかり押し付けられる可能性があります。
「即戦力」が当たり前と思われているので、半月~1月くらいで順応できないと冷遇されます。
派遣会社に希望を伝えても、希望通りの勤務先が見つからなかったり、場合によっては勤務先が見つからず、働きたくても仕事が途切れてしまうリスクがあります。
施設とアナタの間に入る、派遣会社の担当者がポンコツだと詰みます。
メリット&デメリットを把握した上で判断すべし
「派遣」は高時給な上に、派遣会社がマージンを取るので、人件費はかなりの額になります。
(※時給1600円だとしたら、施設が派遣会社に支払う金額は1時間3000円以上)
常勤や非常勤を雇用したほうが将来性もあるし、人件費も抑えられますが、応募が来なかったり、入ってもすぐに辞めてしまったり…
やむを得ず「派遣」を必要としている施設しかありません。
そのため「即戦力」を求められますし、スキル不足だと冷遇されてしまうのは、ある程度は仕方のない事です。
スキル不足と判断されたり、常勤や非常勤が補充された時は、施設側から契約更新を断られ、馴染んだ職場を去らざるを得ない時もあります。
自由な面、思い通りにならない面を理解した上で「派遣」という働き方が自分に合っているか、冷静に考えて下さい。
時給いいから
正社員ダルいから
といった安易な理由で「派遣」になって、後悔している人も結構見てます。
冷静に判断して下さい。
最後に
「派遣」という働き方は、メリットも大きいですが、実はデメリットも大きいです。
自分に合っているなら「派遣」いう働き方は、賢い選択です。
感情に流されたり、責任が軽そうだからという、安易な理由で「派遣」になると後悔します。
私は、最初に勤めた介護施設が特養でした。
1箇所の施設しか知らず、視野が狭いままキャリアを進めたくなかったので、3年半勤めた特養を退職し、2年間と期限を決めて「派遣」をしました。
「派遣」をしたことで視野が広まったし、価値観も変わりました。
個人的に、人生で1度くらいは「派遣」という働き方をしてみるのは良い経験になふと思います。
とはいえ、判断するのはアナタです。
今回の内容が参考になれたら幸いです。