ブラック企業を『辞められない』人の心理【現状維持バイアス】
介護士K (@kaigo_kk) です。
「ブラック企業」を辞められない人の心理について。
SNSを見ていると、あり得ないくらいブラックな介護施設があります。
- 残業代未払い
- 月100時間残業
- 有給取らせない
- 夜勤明けで8時間残業
- 遅刻・欠勤したら罰金
- 人手不足で3日間泊まり込み
- 代わりが見つからないと休めない
ネタとしか思えないくらい「ブラック」のオンパレードで、Twitter見ていて日々ドン引きしています。
なんですぐに辞めないの!?
誰もがそう思うでしょう。
ただ、人間にはブラックな環境から抜け出せない「深層心理」があります。
性格やメンタルの問題ではなく、誰もが陥る落とし穴です。
私は社会人になりたての頃、2年間ブラック企業に勤めた経験があります。その時の体験談をもとに、ブラック企業を「辞められない」人の心理について解説します。
スポンサードサーチ
ブラック企業を辞められない人の心理
ブラック企業の実態
私が就職活動をしていた頃は「超・就職氷河期」で、30社面接して全滅、就職できずにフリーター…みたいな同級生が大勢いました。
私はFランク大学のため、就職戦線はより厳しいものでした。何とか就職先が決まり「このチャンス逃したら終わりだ!」と思いました。
しかし、その会社はブラック企業でした。
- 拘束時間:朝8時から深夜まで
- 休日:月1日
- 最大43連勤
給料は良かったですが、時給換算すると数百円レベルでした。
加えて…
- 社員寮で先輩と共同生活
掃除、洗濯、風呂掃除…1番下っ端であった私の負担は多く、プライベートはあって無いようなものでした。おまけに体育会系で、怒鳴られたり、時には殴られたり…という事もありました。
辞めたいと言ったら…
逃げるのか?
ここでダメなら、どこへ行っても通用しないぞ
と言われ、半人前で自分の仕事に自信のなかった私は、その言葉を真に受けてしまい「辛いけど、ここを耐えないと人生終わりだ」と自分に言い聞かせ、無理して仕事を続けました。
帰省した際に両親から「給料良くても、そんな会社は辞めた方がいい」と何度も言われましたが「逃げるのか?」「どこへ行っても通用しないぞ」という言葉が脳裏から離れず、助言を聞き入れませんでした。
その会社は2年で辞めましたが、在職期間中…
- 急性腸炎で緊急入院
- 原因不明の冷え性に悩まされる
- 持病のアトピー悪化で髪の毛抜ける
人間、無理をすると身体を壊すということを身をもって実感しました。
今になって思えば、私はブラック企業を抜け出せない心理の「落とし穴」にハマっていました。
現状維持バイアス
自分の置かれている状況が悪くても…
- 再就職できる保証はない
- 給料良いから辞めるの勿体ない
- 次の職場もブラックかも知れない
- 環境を変えるのは何となく不安だ
ブラック企業と分かっていても「逃げるのは良くない」「他でも通用しない」という恐怖から、状況を変えようとせず、現状維持を望んでしまう…
人間には、未知なもの、未経験のものを避け、現状維持を望む心理作用があります。
これを行動経済学で
- 現状維持バイアス
と呼びます。
人間は、合理的な判断をしているつもりで、実は感情的で非合理な判断をしてしまう生き物です。諸説ありますが、これは人間の「生存本能」からきていると言われています。
変化することのリスクよりも、現状維持の安定を求めるのは深層心理であり、意思が弱いとか、判断能力が低いというわけではありません。
ブラック企業は、そんな心理を巧みについてきます。
ブラック企業から抜け出す「3つ」の手順
ドツボにはまったとしても、抜け出す方法かあります。
定量的に分析する
私もそうでしたが、ブラック企業に勤めている人に「そんな会社良くないよ!」と感情的に諭しても効果はありません。
- 同業他社の年収・福利厚生
- 同業他社のと残業時間比較
- 今より状況が良くなる求人件数
具体的な数値で比較することで、現状維持バイアスによる判断の偏りを断ち切ることができます。
「逃げるのか?」「他で通用しないよ」と言われてもビビらなくなります。
利害関係のない第三者にアドバイスを聞く
友人にどんなに「辞めろ!」と言われても聞く耳を持たなかったのに、精神科の先生に「辞めたほうがいいよ」と言われて、ハッと目が覚めるような事ってありますよね?
SNSで「私の職場こんな感じです。どう思いますか?」みたいな質問をしている人がいますが、あれは良いと思います。
リアクションをする人間が玉石混淆なので難しい面もありますが、尊敬できるフォロワーさんから、人生を好転させるアドバイスが貰える可能性があります。
最悪のケースを想定する
現状維持バイアスはリスク回避本能なので、今よりも更に状況が悪くなる事を認識すると、冷静になります。
ブラック企業を辞めなければ、最悪は「過労死」です。病むより「過労死」のほうが圧倒的に危険ですよね?
アナタがブラック企業に勤めていて、奥さんにどんなに説得されても辞めようとしなかったとします。
ある日、奥さんに離婚届をバーンって叩きつけられて…
辞めないなら今すぐ離婚よ!!
と言われたら私なら辞めます。このように、今よりも「最悪な状況」になるリスクを考えると、人間は冷静さを取り戻します。(自己責任でお願いします)
人間は追い込まれると引きこもる
人間は、追い込まれれば追い込まれる程、第三者の声が耳に入らなくなり、冷静な判断が出来なくなります。
どんなにハートが強い人間でも一緒です。メンタルの強弱ではなく「深層心理」なので、逃れることは出来ません。
もし、アナタの身近に追い込まれている人がいたら「そんな会社すぐ辞めろよ!」と言いたい気持ちをグッと堪えて、話を聞いてあげて下さい。求められていないアドバイスは逆効果です。
相手が落ち着いてアドバイスを求めてきたら、上の手順に沿って導いてあげて下さい。
ブラック企業は無くなりません。そのことを踏まえた上で、日頃から情報収集をしましょう。
今の環境が全てと思い込むのは危険です。客観的事実を知ることで、現状維持バイアスを断ち切りましょう。
最後に
「ブラック介護施設」の見極め方について解説してきました。
- 定量的に分析する
- 第三者のアドバイスを聞く
- 最悪のケースを想定する
今の環境が全てではありません。
現状維持バイアスの罠にかからないよう、日頃から情報収集をしましょう。
介護士って繊細な人が多いんですよね。人生損しない為にも、少しでも良いので動きましょう。