『脳血管性認知症』とは?
介護士K (@kaigo_kk)です。
『脳血管性認知症』について世界一わかりやすく解説します。
アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症とともに「三大認知症」と呼ばれる認知症の1つです。
全ての認知症患者のうち、約15%が脳血管性認知症といわれています。
- アルツハイマー型認知症:50%
- レビー小体型認知症:20%
- 脳血管性認知症:15%
- その他の認知症:15%
大まかにはこんな感じ。
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脳血管性認知症の「原因」
- 脳の血管が詰まる「脳梗塞」
- 血管が破れる「脳出血」
脳血管に障害が起き、神経細胞がダメージを受けることで発症します。
脳の場所、障害の程度によって症状が異なります。
できる事・できない事がハッキリ別れるという特徴があります。
脳血管性認知症の「症状」
脳血管性認知症の特徴的な症状を紹介します。
認知機能障害
ある分野のことはしっかりできるのに、他のことでは何もできなくなる等、障害される能力と、残っている能力に差があるという特徴がありますす(まだら認知症)
判断力や記憶は比較的保たれます。
身体・行動・心理症状
- 歩行障害
- 言語障害
- 手足の麻痺
- 転びやすい
- 呂律が回りにくい
- 意欲低下
- 抑うつ状態
- 感情失禁(感情の起伏が激しくなり、些細なことで泣いたり、怒ったり、興奮する)
- 夜間せん妄(夜になると意識レベルが低下して、別人のような言動をする)
活動意欲が無くなり、日中の活動が少なくなり、不眠・昼夜逆転になる傾向があります。
脳血管性認知症の「ケア」
脳血管性認知症は、脳細胞がダメージを受けることで発症します。
一度死んだ脳細胞が生き返ることは無いため、根本的な治療法はなく…
- 脳血管障害の再発予防
- 認知症症状の対症療法
が治療の中心となります。
脳血管管性認知症は、脳血管障害を再発することで悪化していくことが多いため、脳血管障害の危険因子である…
- 高血圧
- 糖尿病
- 心疾患
などを適切にコントロールする等、再発予防が重要になります。
以上、ここまでザックリ学術的解説をしてきましたが、そろそろ国民の80%が退屈で寝はじめたので…
ここからは、介護士Kの目線で脳血管性認知症について解説します。
脳血管性認知症の「特徴」
脳血管性認知症と関わる上で最も大事なことを書きます。
発症初期には「自覚」がある
発症初期には、自分が認知症であることを認識している場合があります。
どんどん忘れてしまう…
どんどん出来なくなっていく…
認知症を扱っている映画、TVドラマ等で、序盤にこんなシーンありますよね?
当人の認知症が悪化していくに連れて、回りの家族の苦悩も始まるみたな…
- 当人は不安でいっぱい
- 家族も不安でいっぱい
当人・家族ともに辛い状況になります。
家族の脳裏には「頼りがいのある父」「気配りができる優しい母」といった、一番良い時のイメージが焼き付いています。
そのため、急に物忘れが始まったり、情緒不安定になった家族に対して…
「なんで、こんな事も出来ないの!?」
「どうして分からないの!?」
といった、感情的な言葉を投げかけてしまったりします。
当人も、自分がおかしくなっていってる自覚があるので、信頼する家族にこんな言葉を投げつけられたら、物凄く辛く、悲しい気持ちになります。
そして、当人はどうする事も出来ない…
認知症になって、日々出来ない事が増えていくことを自覚するのは、想像出来ないくらい辛いはずです。
ケアする側は、当人の苦悩に寄り添い、ありのままの状態を受け止めることが大事です。
脳血管性認知症は「治らない」
脳血管性認知症は、脳細胞が死ぬことが原因で発症するので…
治りません。
進行を緩やかにする事しか出来ません。
認知症の家族をケアする家族(特に男性)に多いのですが…
「リハビリすれば治る」
「いずれ元の母さんに戻る」
と思い込んでいる人がいます。
気持ちは分かります。
藁にもすがりたくなるでしょう。
ですが…
治りません。
辛いかも知れませんが、先ずはこの現実を受け止めて下さい。
その上で、日々変化していく家族に寄り添ってあげて下さい。
一番辛いのは、認知症になった当人です。
認知症を「変化」と捉える
認知症の進行を「衰え」「退化」と捉えている人がいますが、私は個人的に「変化」と考えています。
子供の頃「反抗期」ありませんでした?
思春期とか、親が宇宙一ウザくなかったですか?
「うるせぇよ!!」
「勝手に部屋入って来んなよ!!」
とか言った記憶ありませんか?
私はバリバリあります。
ところが、高校3年くらいの頃、スッと終わりました。
切欠とかよく分かりません。
これ「変化」ですよね?
人生は死ぬまで「変化」の繰り返しです。
- 人見知り
- 反抗期
- 更年期
- 認知症
すべて「変化」です。
衰え・退化ではなく「変化」です。
「変化」とは、言い換えれば「成長」です。
人間は死ぬまで「成長」し続ける。
その過程に過ぎません。
「認知症ケア」で大切なこと
脳血管性認知症の初期は、当人・家族ともに苦しみます。
介護士としては、双方と向き合うことになります。
双方からネガティブな事なかり言われると、介護士も人間なので、疲弊します。
ただ、ここで重要なのは…
- 「受容」と「傾聴」
「相手の立場になって考える」というのは、言葉でいうほど簡単ではありません。
全てを受け止めるのは無理でしょう。
ただ、脳血管性認知症について理解し、できる範囲で受け止める。
話を聞くだけでも、相手は安心します。
最後に
キャラにもなく真面目に書いてしまいました。
今回の内容は【入門編の入門編】なので、脳血管性認知症についてもっと詳しく知りたい方は、Googleさんに聞いてみて下さい。
レビー小体型認知症、アルツハイマー型認知症についての記事もあるので、ぜひご覧下さい。
『レビー小体型認知症』とは?
「レビー小体型認知症」について、世界一わかりやすく解説します。これを読めば「レビー小体型認知症」がどういうものか、大まかに理解できます。
『アルツハイマー型認知症』とは?
「アルツハイマー型認知症」について、世界一わかりやすく解説します。これを読めば「アルツハイマー型認知症」がどういうものか、大まかに理解できます。