『身体拘束』とは?
介護士K (@kaigo_kk)です。
『身体拘束』について世界一わかりやすく解説します。
介護の仕事をしている人は、身体拘束という言葉には馴染みが深いと思いますが…
「身体拘束って何?」
と聞かれると、うまく説明できない…
そんな人も多いと思います。
今回は、身体拘束について超シンプルに解説します。
これを読めば、身体拘束の全体像がわかります。
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『身体拘束』とは?
身体拘束とは、本人の意思では自由に動けないよう、身体の一部を拘束する行為です。
身体拘束には、大きく分けて3種類あります。
物理的拘束
- 車椅子から立ち上がるのを防ぐため、拘束ベルトで車椅子に固定する
- ベッドからの転落を防ぐため、ベッドをベッド柵で囲む(4点柵)
- 身体を搔きむしるため、両手にミトン(鍋つかみのような厚手の手袋)を付ける
- 点滴を抜いてしまうため、両手を紐で縛る
- 転倒する可能性があるため、深いソファーに座らせる
精神的拘束(スピーチロック)
- 何度もトイレへ行きたいと訴える人に「さっき行ったばかりでしょ!?」
- 頻繁に椅子から立ち上がる人に「座ってて!」「立たないで!」
ドラッグロック
- 睡眠導入剤・精神安定剤などを過剰に投与することで行動を抑制
身体拘束は「原則禁止」
厚生労働省は、緊急上やむを得ない場合を除いて、身体拘束は原則禁止としています。
つまり、今挙げた行為は全部NGという事です。
「緊急上やむを得ない場合」とは?
①切迫性
- 自傷行為(刃物で手首を切る、紐で首を縛る等)
- 他者への暴力行為
②非代替性
- 自傷・他傷行為を四六時中付き添わなければ防げない場合など
③一時性
- 治療・薬などで自傷・他傷行為の改善が見込まれる場合、効果が出るまでの間、期間限定で行う
以上、ここまでが学術的解説になります。
ここからはお馴染み「介護士K目線」で身体拘束について解説します。
身体拘束OKなのは「かなりの緊急事態」だけ
身体拘束OKなのは、緊急上やむを得ない場合だけです。
刃物で手首を切ったり…
首吊りしようとしたり…
怪我させるレベルで他者を攻撃したり…
そんな行為を24時間マンツーマン対応しないと防げない…
これって…
かなりの緊急事態ですよね?
つまり…
- 転倒リスクが高い
- 便を弄ってしまう
レベルで身体拘束しては絶対にダメという事です。
介護施設では、その方のADL(日常生活動作)・認知レベルによっては、ハサミなどの刃物の持ち込みを禁止する場合があります。
そのため、介護施設で生活する上で、緊急上やむを得ない場合というのは、物理的に殆どありません。
たとえ入居者家族が身体拘束を希望しても、余程の危険性がない限り、身体拘束はNGです。
身体拘束は「尊厳」を傷付ける
身体拘束は、人間の「尊厳」を著しく傷付ける行為であり
ADL(日常生活動作)低下を助長します。
介護する側は、相手が圧倒的弱者の立場であることを深く理解して、関わる必要があります。
身体拘束というと、紐で縛るなど、物理的なものをイメージしがちですが、私たちが無意識に行っていることが身体拘束になっている場合が、実は結構あります。
それは…
『スピーチロック』
例えば…
「少々お待ち下さい」
という、一見何の問題もない声かけでも
- 口調
- 声のトーン
- 話すスピード
によっては威圧的に伝わり、無意識のうちに身体拘束してしまう可能性があります。
自分にその気がなくても、相手がそう感じたら身体拘束です。
介護現場には、どうしてもバタバタする時間帯があります。
在宅介護などでも、そんな場面はありますよね?
介護する側も人間なので、バタバタしている時は声かけが雑になってしまう事もありますよね?
人間なので、仕方のない事です。
そんな時に…
(今の声かけは『身体拘束』になってないかな?)
心の中で自問自答してみて下さい。
これが出来れば、あなたは大丈夫です。
最後に
身体拘束について超シンプルに解説しました。
今回の内容は【入門編の入門編】なので、もっと詳しく知りたい方は…
などを読んでみて下さい。