実録・介護現場の『お局』①
介護士K (@kaigo_kk) です。
私が初めて遭遇した「お局」の話。
介護職の皆さん「お局」は好きですか?
もし「好きです」という人がいたら、お薬出しておきます。
今回は、私がリアルで遭遇した「お局」について介護小説
- 介護士・上村啓介
シリーズで紹介します。
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実録・介護現場の『お局』
私は上村敬介(35)
職業は「介護職」
役職は「ユニットリーダー」
結婚して妻・子供(娘)と3人暮らし。
昨年、35年ローンで3LDKのマンションを購入。
住宅ローン負担は大きいが、娘が小学校に上がったら妻も仕事を再開する予定。
極端な贅沢が出来ないが、今の生活には満足している。
今回は、少し「昔話」をしよう。
特養の常勤→有料の「派遣」
大学卒業後、営業職を経て介護業界へ転職。
特別養護老人ホーム(特養)で3年働いた後、視野を広げたいと思い、期間を決めて「派遣」で働くことに。
派遣会社に紹介されたのは、某大手企業が運営する有料老人ホーム(有料)
経験値を高めることが目的なので、選り好みをせず一発OK。
退屈が何よりの苦手で、はやく新しい職場を見てみたかったので、有給消化はせず、特養退職の翌日から早々に働きはじめた。
配属フロアには30名の入居者さんが生活していて、殆どが日常生活自立の人ばかり。
オムツを付けている方が5名、トイレ誘導に介助が必要な方が4名、入浴介助は長いと1人に1時間…
オムツ交換、トイレ誘導、センサー対応、入浴介助…
特養ではすべてが戦場だったので、ゆったりとした時間に馴染むのに少々時間が掛かった。
初月から「夜勤」
今ほどではないが、当時から介護業界は人手不足。
経験者はサッと教わって、早々に1人で動くことは珍しくない。
特養には未経験者で入ったので、半年間みっちり新人教育をしてくれた。
今思えば、かなり手厚かったと思う。
(それなのに、ようやく1人前になった頃に辞めてしまい、本当に申し訳なかったと思う)
「経験者」として初めての転職…
加えて「派遣」という立場…
(そうか、介護業界の「経験者」は、こう扱われるのか…)
身をもって実感した。
とはいえ、それだけ頼りにされているのだと思い、期待に応えようと、必死でメモを取りながら仕事を覚えた。
その仕事ぶりが評価されたのか、月半ばに勤務変更で、早々に夜勤に入ることに。
(マジかよ、流石に早すぎないか…)
特養では、夜勤デビューまで最短でも3ヶ月は掛かった(人によってはもっと掛かっていた)
日勤帯の仕事もうろ覚えの状態で、夜勤…
少々ビビったが、これも試練と思い、引き受けた。
夜勤デビュー
夜勤指導には副主任(男性)が付いてくれた。
彼はギタリストで、当時バンドマンだった私は、音楽の話で意気投合。
後に趣味のバンドを組んで、一緒にライブにも出演した。
仕事ぶりは頼りになる兄貴タイプだが、決して上から目線にならず、私のような派遣にも「うちの施設のマニュアル、どう思う?」と意見を聞いてくれたりなど、柔軟性もある。
尊敬できる先輩で、今でも付き合いがある。
そんな彼に3回付いて教わり、最初の一月が終了。
翌月から一人立ちすることに。
降臨
その日、私は遅番だった。
夜勤を教えてくれた副主任が日勤でいて、夕方の休憩時間にこんな事を聞かれた。
「上村君、横田さんと仕事した事ある?」
横田さん…
初めて聞く名前だった。
夜勤専任の非常勤で、先月は家庭の都合で休んでいて、今月から復帰するとの事。
私は先月から働き始めたので、当然一緒に仕事はしていない。
知らないと答えると…
「そうか…だいぶ癖強いから、気を付けてね」
と言われた。
どうやら横田さんは、今晩夜勤で来るらしい。
自分以外のシフトをあまり気にしていなかったので、その日の夜勤者とか全然把握してなかった。
夜勤開始10分前、異様なオーラを放ちながら、1人の女性がフロアに入ってきた。
その瞬間、フロアの空気が変わり、出勤していた職員の表情が引き攣った。
非常勤・横田(年齢不詳)
異様なオーラを放ちながらフロアに入ってきた非常勤・横田。
外見はジャガー横田を20%増量して顔面3発殴ったようなルックス。
初対面なので…
「初めまして、先月から派遣で入った上…」
挨拶をしかけるも、完全に無視して椅子にドスンと座り、ムスっとした顔で申し送りノートをパラパラとめくり始めた。
(何なんだコイツ…)
挨拶無視どころか、視線すら合わせない…
というか、私の存在が見えていないようにすら感じる…
遅番と夜勤は、業務が少し被る。
夕食、薬を配った時点で日勤は退勤。
そこから、横田と2人での仕事が始まった。
食事を下げている時も「お前、ここへ来る前何があった…」レベルの不機嫌オーラ全開。
相変わらず目も合わせてくれない。
入居者さんも、明らかに横田を恐れている…
気にしても仕方ないので、私はある入居者さんを寝かせ、オムツ交換に入った。
有料なので、特養・病院のような多床室はなく、全てが個室。
そのため、オムツ交換など、部屋に入るときは当然ドアを閉める。
誰かが介助に入っている時は、余程の緊急事態がない限り、他の職員が入ってくることはない。
私がオムツ交換に入ろうとズボンを下ろした瞬間、ドアがバーンと開いた。
驚いて振り返ると、そこには横田がいた。
横田は空いたドアに寄りかかり、腕組みをしてコッチをじーっと見ている。
「何ですか?」
と聞くも無視。
(コイツ、俺のオムツ交換を監視してるのか?)
未経験の新人時代ならまだしも、介護歴3年以上。
加えて、特養でガンガンオムツ交換やりまくってきてるし、オムツ交換は上手だと評価されていた。
ここ(有料)でも、オムツ交換は褒められた。
腕組みしながら監視…
話しかけても無視…
流石にイラっとしたので、無視してオムツ交換を始めた。
慣れてるから、人に見られてても、手元が狂う事はない。
順調にオムツ交換をすすめ、パッドを当て、テープを止めようとした瞬間、それまで腕組みして見ていた横田が突如インターセプトしてきた。
「アンタ、そんなんじゃ朝までもたないだろ!?」
やっと声を出したと思ったら、いきなりブチギレ。
(何なんだコイツ…)
戸惑う私をヨソに、横田はオムツ交換を強引に代わってきた。
何をしてるのか見てみると、オムツの中にパッドを何枚も重ねて、見たこと無いような当て方をしはじめた。
この入居者さんは尿量が多いため、夜中に1度パッド交換をする事になっている。
恐らく、夜間の交換が面倒だから、端折るためにパッドを何枚も重ねているのだろう。
(それ、明らかにダメだろ…)
今なら秒でそう思うが、当時は経験も浅く、特養でこんなオムツの当て方は見たことが無いし、ここでも指導担当の副主任のオムツ交換しか見たことが無かったので…
(こういうやり方もあるのか…??)
半信半疑でそう思った。
そうこうしてるうちに、横田はオムツ交換を終え、ズカズカと部屋を出ていった。
すれ違い際、思いっきり肩が当たった。
明らかにワザとに思えた。
その日はそのまま勤務を終え、帰り際に一応…
「お疲れ様でした」
と声を掛けたが、案の定、無視された。
1日休みを挟み、翌々日に日勤で出勤。
同世代の常勤職員に…
「あの横田って人、何なんすか?」
と尋ねると、引き攣った苦笑いで…
「あの人は『お局』だからね…」
そうか…
これが『お局』ってやつか…
(続く…)
介護士K流「お局」の傾向と対策
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