介護士Kのブログ Written by 介護士K

食事介助は「ゆっくり」が正解ではない

豆知識

介護士K (@kaigo_kk) です。

食事介助について書きます。

介護現場は人手不足でバタバタ。

そのため、色々なものがスピード重視になりがちです。

オムツ交換、入浴介助…

人間相手の介護というより流れ作業になっている事があります。

賛否ありますが、物理的にどうにもならない状況もあるので、難しいところです。

介護の仕事について外野から…

「人間扱いしてない!!」
「虐待だ!!」

みたいなことを言われる事があります。

「全てのサービスは入居者さん個々のペースに合わせるべきだ!!」

みたいな。

気持ちは分かりますが、これは全ての車に「法定速度で走れ!」と言うようもので、現実的ではありません。

そして、このタイプが同僚にいると結構タチ悪いです。

今回は「食事介助」を例に解説します。

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食事介助は「ゆっくり」が正解ではない

介護業界には、介護に対する想いが強すぎるタイプが一定数います。

例えば「食事介助」

はやく終わらせようと、入居者さんのペースを無視してハイペースで食事介助をしたり、食べたくないと言ってるのに無理矢理ぜんぶ食べさせようとしたり…

こんな介護現場、結構あります。

介護現場の「全量摂取神話」何なんでしょうね…

これは流石にダメですが、だからといって…

  • 食事介助は「ゆっくり」が正解
  • 食べたくなければ食べなくてもいい

とは限りません。

食事介助は「体力」を考慮すべき

高齢者は健常者と比べて体力がありません。

あなたの「1/100」くらいの体力と考えて下さい。

1日の大半をベッドに寝て過ごし、食事の時間だけ起きてくる人にとって、車椅子に座っていること自体が試練です。

車椅子に5分座っただけで、姿勢が崩れてしまう人、眠ってしまう人は結構います。

30分起きてるのが限界な「Aさん」

Aさんが車椅子に座っていられるのは30分が限界です。

起きた瞬間に食事というのは良くないので、食事10分前にベッドから起こします。

タイムリミットまで残り20分

食事がきたら、タイムロスを減らすために、一番最初に配膳します。

10分を過ぎるとAさんは疲れてきて、時には寝てしまうので、最初の10分が勝負です。

この時出来るだけハイペースで食事介助をします。

「ハイペースで食事介助」

というワードだけだと炎上しそうですが、介護職員のペースではなく、Aさんがむせ込まずに食べれる最速のペースです。

Aさんは時間が経てば経つほど疲れてしまい、口の中に溜め込んで中々飲み込まない、むせ込むなど、窒息・誤嚥(ごえん)のリスクが上がります。

そうならないうちに出来るけハイペースで食事介助をする必要があります。

この時、理解すべきは
Aさんの「食べ方」の特徴。

  • 何回噛んで飲み込むか
  • 食べにくいものは何か
  • どういう順番が食べやすいか

日頃から観察し、Aさんが最も食べやすい方法で食事介助をします。

人間なので、日々コンディションが変わります。

「今日は調子悪いな?」と思ったら、無理せずにすぐに中止します。

また、高齢者は例外を除き、日々衰えていきます。

昨日まで食べれていたのに、今日、全く食べれなくなってる…

こんな事よくあります。

  • 何回噛んで飲み込むか
  • 食べにくいものは何か
  • どういう順番が食べやすいか

これも、ある日突然変わります。

一瞬一瞬の観察・気付きが大切になります。

この辺を理解せずに

「食事もサービスだから、ゆっくり楽しんで頂きたい」

などと言って、Aさんのペースを無視して、声かけをしながらゆっくり食事介助をしていたら、あっという間にAさんの活動限界が来てしまい、窒息・誤嚥…

介護士の独りよがりが、入居者さんの体調悪化の原因を作ってしまったり、最悪は命を危険に晒してしまうリスクすらあります。

介護士は「考えて」動いている

Aさんの例にあるように、介護士は常に「何がベストか?」を考えて合理的に動いています。

人手不足で大変な職場なら尚更、合理性が求められます。

入居者さんを危険に晒すわけにはいかないが、マンパワーには限界がある…

「介護職は誰でも出来る」

と言う人たまにいますが、それは就職・転職・在籍する事が容易なだけです。

介護の仕事は、アナタがたが思っている2億倍くらい複雑・難解です。

  • 介護は「頭脳労働」

私は、こう考えています。

バカでは出来ません。

内情を知らずに色々なこと言ったり、本質を知らずに「簡単」と言ってくる人は一定数います。

これは介護業界に限らず、どんな環境でも同じです。

そんな人を否定する気はありません。

人それぞれ、生き方、考え方、発信は自由です。

これからも、私は私が介護現場で感じたリアルのみを発信していきます。

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